沖縄県那覇港から鹿児島県奄美大島・名瀬港を結ぶフェリーは、南西諸島を縦断する全長約700kmの「奄美沖縄航路」の南部区間を担う重要な海上交通である。マリックスラインとマルエーフェリーの2社が交互運航で結ぶこの航路は、沖縄県民・奄美群島住民の生活航路であると同時に、世界自然遺産を縦断する観光航路でもある。本記事は、那覇から奄美大島への海上アクセスを2026年最新情報で完全に整理する。
本航路の独特の魅力は、本部港(沖縄本島)・与論島・沖永良部島・徳之島・奄美大島(名瀬・亀徳)と多数の島々に寄港することにある。1便で複数の島を巡る島巡り旅、特定の中継島で下船して滞在する個別島観光、そして奄美大島から鹿児島まで北上を続ける長旅まで、旅程設計の自由度が極めて高い。2021年に奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島が世界自然遺産に登録されて以降、このルート全体が「世界自然遺産縦断クルーズ」としても注目されている。
那覇〜奄美大島航路の概要
那覇〜奄美大島・名瀬港の航路は、奄美沖縄航路の南部区間に位置する。マリックスラインとマルエーフェリーの2社が日替わりで交互運航し、1日1便の運航頻度を維持している。那覇市公式と奄美市公式では各港の最新運用情報が確認できる。
運航スケジュール(北上便:那覇→鹿児島方面)
- 那覇港 発:07:00
- 本部港 着:10:50 / 発:11:20
- 与論港 着:13:20 / 発:13:50
- 和泊港(沖永良部島)着:15:00 / 発:15:30
- 亀徳港(徳之島)着:17:40 / 発:18:10
- 名瀬港(奄美大島)着:20:30
那覇〜奄美大島・名瀬港の所要時間は約13時間30分。日中に出発し、夜に到着する昼行便となる。途中の本部港・与論港・和泊港・亀徳港でそれぞれ短時間停泊するため、5つの寄港地を経由する島巡りの旅となる。
運航スケジュール(南下便:鹿児島→那覇方面)
反対方向の南下便は、奄美大島・名瀬港から那覇港へ向かう。鹿児島新港18:00発で名瀬港翌05:00着のあと、名瀬発05:30で本部港着16:20、那覇港着19:00となる。鹿児島〜那覇の全行程は約25時間で、2泊3日の海路旅となる。
運航頻度
マリックスライン・マルエーフェリーが1日1便を交互運航。2社合計で毎日1便の南下便・北上便がそれぞれ運航されている。荒天時は欠航となる場合があり、特に冬季から春先にかけて台風や強風によるダイヤ変更が発生する。最新の運航情報は両社公式サイトで確認すること。
運賃体系(2026年2月1日〜4月30日適用)
那覇〜奄美大島の主要運賃を整理する。詳細はマリックスライン公式運賃ページでご確認いただきたい。
| 等級 | 那覇〜名瀬 大人片道 |
|---|---|
| 2等(雑居室) | 9,810円 |
| 2等寝台 | 運賃表参照 |
| 1等 | 運賃表参照 |
| 特等 | 運賃表参照 |
2026年5月2日からの燃料調整金値下げ
マリックスライン公式の案内によれば、2026年5月2日乗船分から燃料油価格変動調整金が値下げされる。最新の燃調金額は公式発表で確認すること。鹿児島〜奄美と同様、那覇〜奄美区間も対象となる。
往復割引(10%)
同一区間・同等級・1割引の往復割引が適用される。特等・1等・2等が対象で、寝台A・B料金は割引対象外。奄美各島間の航路(名瀬〜亀徳〜和泊〜与論など)には適用されない点に注意。
奄美群島住民・準住民・群島間割引
2025年4月1日〜2026年3月31日乗船分に対して、奄美群島住民割引・準住民割引・群島間割引が適用される。住民の生活航路としての性格が強く保たれているため、運賃面で大きく優遇されている。
那覇港(沖縄県那覇市)の概要
那覇〜奄美フェリーの起点は那覇港である。住所は沖縄県那覇市通堂町2-1付近の那覇ふ頭(旅客ターミナル)。マリックスライン・マルエーフェリー便は那覇新港ふ頭から発着する。那覇市内中心部からのアクセスは以下の通り。
- 那覇空港から:タクシーで約20分、路線バスで約30分
- 国際通りから:タクシーで約10分、路線バスで約15分
- マイカー:港併設の有料駐車場あり
那覇空港から港まで近接しており、本州・九州から航空便で那覇入り→翌日那覇発フェリーで奄美大島へ、という旅程も組みやすい。
名瀬港(鹿児島県奄美市)の概要
奄美大島側の到着港は名瀬港。住所は鹿児島県奄美市名瀬塩浜町17-2281。奄美市中心部から徒歩圏内にあり、名瀬市街地のホテル・観光案内所・レンタカー営業所へのアクセスが容易である。
名瀬港から主要観光地へ
- 奄美市名瀬中心部:徒歩約10分
- 黒潮の森マングローブパーク:車で約40分
- あやまる岬:車で約25分
- ハートロック:車で約40分
- 金作原原生林:車で約45分(要ガイド予約)
5つの寄港地:島巡りの旅
那覇〜奄美大島の航路は、5つの寄港地を経由する。各島の概要を整理する。
本部港(沖縄本島北部)
本部港は沖縄本島北部、本部町に位置する。美ら海水族館へのアクセスが便利で、沖縄本島北部観光の重要な拠点である。那覇発フェリーの最初の寄港地として、那覇→本部の区間利用も可能。本記事執筆時点で停泊時間は約30分。
与論港(鹿児島県与論島)
与論島は鹿児島県最南端の島で、奄美群島の最南端でもある。百合ヶ浜(春から夏の干潮時のみ現れる絶景)で有名な観光地。沖縄文化と奄美文化が交差する独特の島文化を持ち、与論島と沖縄本島を結ぶ「友愛のパイ」(パイの形のお祝い)の伝統も残る。
和泊港(沖永良部島)
沖永良部島は鍾乳洞と花の島として知られる。昇竜洞(鹿児島県の天然記念物)、フーチャ(潮吹き穴)などの自然観光資源が豊富。和泊港・知名港の2港があり、本航路は和泊港に寄港する。
亀徳港(徳之島)
徳之島は世界自然遺産の一部に登録された島で、闘牛文化と長寿の島として知られる。徳之島町・天城町・伊仙町の3町に分かれ、それぞれが独自の歴史と文化を持つ。犬田布岬、金見崎、ウンブキなどの自然景勝地が点在する。
名瀬港(奄美大島)
奄美大島の中心港。UNESCO世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の核心地域へのアクセス起点である。環境省 奄美群島国立公園では入域ルールや観光情報の詳細が確認できる。
那覇〜奄美航路の3つの旅程パターン
パターン1:那覇→名瀬 直行(船中昼行)
那覇07:00発で名瀬20:30着の昼行便。日中の海上を満喫でき、各寄港地で短時間ながら島の空気を感じられる。1日で奄美大島に到着するため、滞在時間を確保したい旅行者に適している。
パターン2:那覇→中継島下船→滞在→再乗船
与論島・沖永良部島・徳之島のいずれかで下船し、各島を観光してから次の便で奄美大島へ向かう。1便1日のため、中継島では最低1泊することになる。「南西諸島島巡り」型の旅として、奄美群島と沖縄本島の文化的グラデーションを体験できる。
パターン3:南北縦断クルーズ(那覇→鹿児島)
那覇から鹿児島まで本航路を縦断する2泊3日の海路旅。1日目は那覇〜名瀬の昼行便、奄美大島で1泊、2日目は名瀬〜鹿児島の夜行便で翌朝鹿児島着。沖縄本島→奄美→鹿児島という南西諸島の縦断体験は他に類を見ない旅のスタイルである。
マリックスライン・マルエーフェリーの船舶
両社の主要船舶を整理する。各船とも数千トン級のカーフェリーで、車両航送に対応している。
- マリックスライン:「クイーンコーラルプラス」「クイーンコーラル8」
- マルエーフェリー:「フェリーあけぼの」「フェリー波之上」
船内は2等雑居室から特等個室まで複数のクラスがあり、長時間航海でも快適に過ごせる設備が整っている。レストラン・売店・自販機・展望デッキ・コインシャワーなどの設備を備える。
那覇港のチェックインと乗船手順
那覇港でのチェックインは出航時刻の60分前までに完了することが推奨される。乗船手続きには身分証明書(運転免許証・健康保険証等)が必要となる。マイカー航送の場合は更に余裕を見て、90分前到着が望ましい。
持ち込み物の制限
危険物(花火・引火物等)の持ち込みは禁止。生鮮品の持ち込みは可能だが、奄美群島にはサツマイモ等の特定病害虫の検疫制限がある場合があるため、農産物の持ち込み時は事前確認が望ましい。詳細は両社公式サイトで確認すること。
奄美大島から先のアクセス
奄美大島は南西諸島の中継拠点としても機能している。名瀬港から先は以下のルートに分岐する。
- 奄美大島〜鹿児島:名瀬発05:30で鹿児島着18:00(同じマリックス・マルエー便)
- 奄美大島〜喜界島:奄美海運フェリーで約2時間
- 奄美大島〜加計呂麻島:古仁屋港から町営フェリー・海上タクシー
本航路(那覇〜奄美)と他航路を組み合わせることで、南西諸島の主要島々を網羅する旅程設計が可能となる。
那覇〜奄美フェリーのおすすめ理由
島巡りの「船旅の本質」
本航路の最大の魅力は5港寄港の島巡りである。航空便では味わえない、「島が次々と現れて消える」という時間感覚は、船旅の本質を体験させてくれる。各港の景観、文化、言葉の微妙な変化を肌で感じられる。
大量荷物・車両航送
カーフェリーであるため、マイカー・バイク・自転車・サーフボード・釣り道具・キャンプ用品など、航空便では運べない大量の荷物を持参できる。那覇〜奄美〜鹿児島の南北縦断を車で移動する旅は、フェリーでしか実現できない冒険的旅行スタイルである。
運賃面の優位性
航空便(那覇〜奄美)と比較すると、フェリーの2等運賃は片道9,810円(2026年2-4月)と圧倒的に低コストである。家族旅行や予算重視の旅では大きなメリットとなる。航空便は所要約1時間と速いが、運賃・荷物制限・空港アクセス時間を総合すると、フェリーの優位性も十分にある。
那覇〜奄美航路のよくある質問
那覇から奄美大島までフェリーで何時間ですか?
那覇港07:00発、名瀬港20:30着で、所要時間は約13時間30分です。本部港・与論港・和泊港・亀徳港の4港に寄港する昼行便となります。
運賃はいくらですか?
2026年2月1日〜4月30日適用の運賃で、那覇〜名瀬 2等大人片道9,810円です。1等・特等・寝台は別途運賃表でご確認ください。2026年5月2日乗船分から燃料調整金が値下げされます。
途中の島で下船できますか?
はい。本部港・与論港・和泊港(沖永良部島)・亀徳港(徳之島)の各寄港地で下船可能です。各島で滞在した後、次の便(基本1日1便)で次の島・目的地へ移動できます。「島巡り」型の旅程として人気です。
マリックスラインとマルエーフェリーはどう違いますか?
両社は那覇〜奄美〜鹿児島航路を交互運航する2社です。1日1便の航路を日替わりで運航することで、毎日の運航頻度を維持しています。運賃・所要時間・サービス内容はほぼ同等ですが、船舶ごとに設備差があります。
奄美大島の世界自然遺産はどこにありますか?
金作原原生林・住用川マングローブ林・湯湾岳などが世界自然遺産の核心地域です。金作原原生林への入域には事前予約と認定ガイド同行が義務付けられています。
那覇から鹿児島まで一気に行けますか?
はい。那覇07:00発で奄美大島・名瀬港20:30着、奄美大島で乗継ぎ・1泊して翌日名瀬港05:30発で鹿児島新港18:00着というルートで、2泊3日の南北縦断海路旅が可能です。乗船券は那覇〜鹿児島通しで購入できます。
マイカーで那覇〜奄美フェリーに乗れますか?
はい、マリックスライン・マルエーフェリーともにカーフェリーであり、車両・バイクの航送に対応しています。料金は車両サイズ別に設定されています。詳細は各社公式サイトでご確認ください。
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※本記事に掲載している写真はすべてイメージであり、実際の運航船舶・港湾・観光施設の現状と異なる場合があります。最新情報は各運航会社・施設の公式発表をご確認ください。
※運賃・時刻表は2026年5月時点の公式情報に基づきます。3か月ごとに改定される場合があるため、ご利用前に必ず公式サイトでご確認ください。
※掲載写真はイメージです。
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